10街区のリフォーム相談

団地リフォームの相談を受ける。

10街区のお部屋を購入予定の方からである。

10街区は、2DKだった部屋を、バルコニーの一部を廊下に改造し、ニコイチにした4DKの部屋である。

中を見るのは、初めてである。 

ヒアリングと現調を兼ね、お部屋の中を案内してもらった。

 

私が住む13街区とは、異なる点がいくつかあった。

浴室は、13街区より広く、出入口は引き違い戸となっていた。

洗面所は、浴室の手前、玄関の脇にあり、壁に面し、浴室窓からの光により明るさを確保していた。

便所は、外壁に面しておらず、共用部の階段にあるPSに面して配置され、窓は無く、換気口が設けてあった。

 

ニコイチにする際設けた旧バルコ―の廊下は、両サイドにあるバルコニーの窓と連続し、全面が腰窓となっていた。眺望が良く、今の季節は気持ちが良いが、夏季は日差しが入るので、日射遮蔽対策が必要であろう。

押入は南北の部屋の間にあるので、13街区のような押入内がカビる心配はなさそうである。間に押入があるので、防音性は良く、各部屋の独立性が確保されているが、風の通りは悪そうである。

片方の旧浴室は、洗濯室となっており、窓のある広いスペースで使いやすそうだ。

バルコニーは、新しく作った廊下で二つに分断されており、物干しをする上で、使いにくそうだ。おまけに大きな給湯器が床に置かれており、実際使えるスペースは更に小さい。

 

以前お住まいの方が特にリフォームをすることもなく使っていたので、昔の団地の面影が残っていた。

 

電話では、水回りの機器交換という話であったが、実際お会いしてみると、多岐にわたるご要望をお持ちのようであった。

 

私は、これまでいくつかの団地のリフォームを行ってきた。

どれも対応できたのは、私が住んでいる部屋と同じ間取りだったからである。

起業当初、自分の部屋を現調し、図面化していたデータが役に立ったのである。

今回は、そのデータが無い。

自宅に戻り、しばらく考えてみたが、手掛かりとなる現況のデータが無いと、設計が出来ない。

アイデアは湧くが、それを検証し、実現できるよう検討する事が出来ない。

その結果、工事金額も精度がでず、概算の金額も判断材料になるのか不安である。

団地の仕様は特殊で、最小限サイズで作られているので、スペースを有効活用し、団地を使いやすくするには、 納まりも含めた現況データを欠かすことは出来ない。

 

スケジュール内で、打合せを重ね、納得のいく計画にまとめ、工事完成させることは難しと判断し、能力不足で購入予定の方には申し訳ないが、お断りさせていただいた。

恐らく、ご要望の内、畳をフローリングにする工事、コンセントの増設工事、建具工事、くらいを実施し、住み始めてから、キッチン・浴室・洗面所の工事に着手する方が良いのではないか思った。

そのメッセージは、購入予定の方に伝わっただろうか。冷静な判断を願う限りである。

 

住み始めてから、工事を行う煩わしさは確かにある。

工事を行う方も、色々気を使う。

しかし、ご本人が今知っている知識の範囲内で、早急に結論を出すことは、後悔する事になる可能性が高い。

設計者も、出来る提案が限られてくるから、益々、その可能性は高まる。

だから、ご本人も、出来上がりを見て、「もっと、こうすれば良かったな」と後で気が付いたりする。

 

むしろ、設計者の考えも聞きながら、「そんな方法もあるのか!」「そんなやり方は思いつかなかった!」「そんな選択肢もあるのか!」といった、発見や学びを経験しながら、「だったら、もっとこうしたい♪」という選択を重ねていった方がスペースを有効活用でき、お好みの仕様を選べ、生活スタイルに合った室内環境が手に入る。

コストダウンしながら、ご本人の使い勝手を尊重するアイデアは存在するものである。

費用対効果や満足度もその方が高まるはずである。

 

コ―タローは、そんなご本人の思考の枠の外に飛び出そうとする方のお助け船のような存在なのである。