私が建物を作っている。設計し、材料を発注し、職人さんに工事内容を伝え、その内容を確認する。それら一連の工程の主体は私自身である。
私が自信を持って言えるのは、型枠大工として自分の体で作る経験が役に立っている。図面を描くことと施工イメージが結びついている。施工イメージが設計と図面の質を高めている。
設計者が図面を描き、工務店が作る、という役割分担が一般的である。教育機関で設計を学び、設計事務所で働くと、それが普通になる。しかし、その設計者は、私が作っていると自信を持って言えるのだろうか。
ハウスメーカー、工務店、設計事務所など、建物を作っている会社は色々あるけど、誰が作っているのか曖昧な会社が多い。横のつながりを大切にする日本社会では、それが自然と曖昧になりやすい。
現場の連帯感は、仕事の士気を高めてくれるので、悪い事ではない。しかし、その雰囲気に飲まれて、自分が手綱を握っていることを、設計者は忘れてはならない。