「とりあえず見積お願いします」と言われることがある。しかし、とりあえずで見積書をつくること、は出来ません。見積書の根拠となる図面がないからです。
その場合、「今は診察している段階なので、診察が終わってから行います」と伝えるようにしている。そう言うと、状況を理解し、打合せに付き合っていただける。
お客様一人一人に合わせたサービスを提供しようとすると、初期段階に診察が必要になる。分かりやすい資料や大きな模型を用意するのも、そのためである。お客様の反応を知り、設計に反映させ、次回の打合せに臨む。打合せはその繰り返しである。
お客様も、重要なことを思い出したり、投げかけた質問について考える時間が必要だ。次の打合せまでの2~3週間の間、ふとした瞬間に、忘れていたことや、気になっていたこと、を思い出したりする。「やっぱり、こうすれば良かった」という気持ちがお客様の中に残らないようにするためにも、十分な打合せ時間が必要だ。
建築物は一般的に高額で簡単に直すことが出来ない商品なので、「とりあえず見積」は出来ないのである。