秋田杉の壁

想いが形になると、嬉しいものである。この気持は、小さなリフォーム工事でも、感じられる。

 

単に美しいだけのものというのは、人によっては受け入れがたかったりする。しかし、そこに、自分らしい要素があると、安心できる。更に、その選択が自分の意志であると、喜びになる。

 

お客様の故郷の秋田杉を壁に貼った時が、まさにそうだった。北側の六畳間で、施工面積は3m×2.5m程度だった。真中に窓があるので、実際の施工面積はもっと小さい。それでも、お客様はとても満足しておられた。

 

歴史性や伝統文化が希薄な今日、デザインの手掛かりを、幾何学・構成・素材の美しさに頼らざるを得ない。それは、必要条件である。そこに、住み手の物語性を、更に与えられる設計者でありたい。