普通の材料を、普通ではない組み合わせ方で、見たことのない建物を作る。これは、私の設計手法の一つである。
在来工法の本体とツーバイ材のトラス屋根を組み合わせ、建物を作ったことがある。2階がバレエスタジオになっている住宅である。2階をスタジオにしたのは、上空を通る高圧線の電磁波の影響をできるだけ受けないようにするためある。2階のスタジオは、10mスパンの無柱空間と天井高さ3mの場所を確保することが求められた。
最初は、流通材を製作金物を介してボルト固定する方法を検討していた。しかし、スパン方向の壁量を確保しようとすると、斜材が必要となる。10mスパンをきちんと確保しようとすると、建物が大きくなってしまう。部材数も多く、部屋の広さの割に材積が大きく、コストがかかる。そのため、方針を変え、大スパン用のトラス商品がないか探した結果、ツーバイ材のトラス商品を色々揃えている会社を発見した。
トラスの部材同士の固定はギャングネイルというプレートで固定してある。そのため、金物が露出するので、クライアントは仕上がり具合を、とても心配されていた。しかし、出来上がってみると、トラス自体の迫力と、壁面に使っているラーチ合板のワイルドな印象と相まって、まったく気にならなかった。
クライアントのバレエスタジオHPを拝見すると、ブログでレッスンの様子が写真で紹介されている。赤みを帯びた木部が温か味を与え、木目が非常に良いアクセントになっている。