外気に面する団地の室内壁の工夫

団地をリフォームするたびに、新しい箇所を解体することになる。

設計を生業としている私には、またとない機会である。

隠れている部分が、どんな作り方になっているのかが分かるからだ。

毎回、新しい発見がある。

それは、重要な設計情報である。

 

今までの中で、一番の発見は、居間の西側壁を解体した時である。

棟の末端に位置するお部屋の外壁に面している壁である。

家具を置くと、いつの間にか、冷たい空気が滞留し、壁にカビが発生してしまう。

断熱材が入っていないのだろうと思っていた。

しかし、解体してみると、胴縁が格子状に組まれ、その間にグラスウールの断熱材が入っていた。

その上、胴縁の上には防湿フィルムが貼ってあった。

当時の環境工学で考えられるお手本のような対策である。

 

今日の基準からすると、そのグラスウールでは、熱伝導抵抗が小さすぎる。

密度が小さい上に、厚みが30mmと薄い。

グラスウールではなく、高性能の押出法ポリスチレンフォームまたはフェノールフォームにする必要がある。

 

この時の経験を活かし、押入れのリフォームの相談を受けた時は、グラスウールは撤去せず、胴縁の上から高性能押出法ポリスチレンフォームを貼ることにした。

カビの心配もなく、使いやすい押し入れになったのではないか。

 

これからも、解体工事をするたびに、三郷団地の作りが分かり、提案できることの幅が広がっていく。

「こんなこと出来ないかな?」と考えている方がいましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

きっと、良い提案ができると思います。