「相談内容がまとまってからでないと、設計事務所に相談をしても意味が無い」というのは間違いです。
相談内容は、まとまっていなくても大丈夫です。
相談しているうちに、考えが整理され、計画方針が決まっていきます。
なぜなら、設計相談は、お客様にとってコ―チングのような役割を果たしているからです。
質問されるから、考えようとする。
聞いてくれる人がいるから、伝えようとする。
自分のことを自分一人で考えると、思考が堂々巡りする。
人間の思考はそのような仕組みになっているようです。
団地にお住まいのO様から押入れリフォームの相談を受けました。
最初のテーマは、「押入れが外壁に面しているので、カビが発生する。何度、掃除をしても綺麗にならない。それを何とかしたい」というものでした。
しかし、話を聞いてみると、それ以外にも色々な要望があることが分かりました。
以前、考えたことや気になっていたことを思い出したのです。
O様は、自分の話が二転三転するので、申し訳なさそうにしていました。
そして、「もう少し自分で考え、要望がまとまってきたら、相談し直します」と言われました。
しかし、私は、「話がまとまっていなくても構いません。気にせず、思ったことを話してくれて大丈夫ですよ。話をしているうちに、要望がまとまりますから」と伝えました。
私からも、O様に質問をしたり、話の内容を確認したり、アイデアを提案したりします。
そうしているうちに、私の頭の中に、計画の全体像と方針が見えてきます。
それを、お伝えし、O様と共有します。
すると、「それでお願いします」と笑顔で答えてくれました。
計画が決まる前の相談というのは、このようなやり取りが行われています。
お部屋をスッキリさせることは、目的ではなく、手段です。
人それぞれ取り組むべき人生のテーマがあります。
それに集中するためにも、頭の中とお部屋の環境はスッキリさせておきたいものです。
最近、私は、部屋の中を片付け、そのことを実感しています。