壁の前には、家具が置かれることが多い。
コンパクトなお部屋の組み合わせで出来ている団地では、なお更である。
お部屋の雰囲気作りにと、特徴のある壁紙を選んでも、効果が損なわれてしまう。
そんな中で、存在感を示す壁が三箇所だけある。
浴室の壁、リビング奥の壁、キッチンからリビングに伸びている壁、この三箇所である。
一般的に、全ての壁を白系の色を選びがちである。
しかし、その三箇所の壁だけ、色や素材に変化を付けると、最小限の要素で、お部屋全体の印象がガラッと変わる。
部屋の中を歩き回ってみるのが、少し楽しくなる。
理由は、大きさと形状と位置の条件が良いからである。
まず、浴室の壁は、他の部屋にないL型の壁で、ボリューム感があるのが特徴だ。
開口部も少なく、シンプルでフラットな壁らしい形をしている。
玄関に入ると最初に目に入り、アクセントとして効果的だ。
次は、リビングの奥の壁である。
キッチンに入り、リビングの方を見ると、最初に目に入る壁である。
開口部もなく、形状も四角く整っている。
壁紙や塗装することで、お好みの色にするのも良い。
リフォームしたS様の場合、少しでも壁の熱伝導抵抗を大きくし、カビの発生を抑えるように、杉の相じゃくり板を貼った。
リビングに、木の温かみのある雰囲気が生まれた。
最後は、キッチンからリビングに伸びている壁である。
長く伸び、力強いのが特徴である。
上部は梁の側面であるが、下の壁面と位置が揃っているので、一枚の大きな壁のように見える。
開口部が二箇所あるが、壁の存在感を損ねるほどではない。
リビングのソファーに座った時や、ダイニングで食事をしている時に、目に入り、お部屋全体の印象を方向付けている。
リビング奥の壁と組み合わせて仕上げをコーディネートすると、更に印象が良くなる。
これらの壁は、前に家具が置かれたり、カレンダーや写真が壁に掛けられたとしても、存在感を損ねることがない。
お部屋の雰囲気を少し良くしたいときは、これらの壁にどう変化を与えれば良いのか考えると、上手くいくと思います。