健康は断熱から

愛知県の小学校で、小学生が熱中症で亡くなるという事件が起きた。大変悲しい出来事である。

 

これによって、どこの小学校でも、エアコン設置が、ますます急がれることとなる。しかし、断熱性能の悪い建物にエアコンを設置することは、エネルギー効率があまりにも悪い。外部環境の影響を受けやすいからだ。

 

白いコンクリートの建物で象徴される昔からある学校は、壁に断熱材がない。サッシはアルミと5mmのシングルガラスでできており、熱がとても逃げやすい。私が住んでいるURのみさと団地と同じで、1970年代に作られた当時は、最新の建物だった。しかし、新しい技術と新しい考え方が生まれ、今では、温熱環境的には、最低の仕様になっている。

 

今後、電気代は小項目が追加され、高くなる傾向にある。それは原発の事故処理の費用負担を捻出するためである。そのような状況下で、エアコンを設置すればいいという判断は、賢い設備投資ではない。まずは、断熱工事が最初だと思う。

 

しかし、私たちが慣れ親しんでいる住環境が温熱環境的に良くないので、そのような意見が、父兄や先生から出ることはまずない。自分とは関係ないと判断されてしまう建築技術の専門知識が、一般の方の耳に届くこともない。多くの情報に囲まれ、それ以外のことで忙しい。

 

だから、私は建築士として、皆さんの身近な住環境を改善したいと、改めて思っている。そのために、近い将来、みさと団地をリーフォームして販売する活動を目標にしている。もちろん、住み手の好みに合わせて設計することも可能だ。

 

この温熱環境の違いは、体感しないと分からない。これは、体の健康とも関係している。だから、実際体験できるモデルケースが必要だ。そして、体験者の声が広がり、地域社会で、省エネ、健康、働き方、暮らし方について見直す動きが生まれることを願っている。